増税前に買っておくべきものは何か (プレジデント) - Yahoo!ニュース
深刻な財政難に加え、東日本大震災の復興財源も確保しなければならないということで、増税は避けられない見通しです。消費税が上がるかどうかは今後の政局次第ですが、もし現行の5%が8%に、あるいは10%になると決まれば、多くの人は「いまのうちに大きな買い物をしておこう」と思うのではないでしょうか。私もたまに「増税前に何を買っておけばいいですか」という相談を受けます。
そんなとき私は、「消費税が上がるからといって、買っておいたほうがいいものは特にありません」とお答えしています。なぜなら1997年4月1日に消費税が3%から5%に引き上げられたとき、自分自身が経験したことを思い出すからです。
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その前年に投資用物件の建て替えを検討していた私のもとには、「9月中にサインだけしてくれれば、消費税は3%でけっこうですから」と建て替えを勧める建築業者が毎日のように訪れ、猛烈な営業攻勢を受けました。土地は非課税ですが、建物には消費税がかかりますから、「税金が上がったぶん多く払うのはもったいない」と勧める業者の言い分も納得できないわけではありません。しかし私は、ろくに図面も引かないまま契約だけ急がせる姿勢に疑問を感じ、あえて契約を流すことにしました。
仮に4000万円の物件だとしたら、消費税3%分は120万円。5%なら200万円です。こう言うと語弊があるかもしれませんが、その差は80万円にす� �ません。しかし80万円に目が眩んで意に沿わない物件を建ててしまえば、建て替え自体を後悔してしまうかもしれない。こう判断したのです。
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はたして駆け込み需要が一段落すると、契約数は一気に落ち込み今度は値引き合戦が始まりました。そこで納得のいく業者を探して契約したら、特に交渉せずとも100万円以上安くなりました。
似たようなことは2011年3月末日に家電エコポイント制度が終了する直前にも起こりました。「いま買わないと損をする」という駆け込み需要が発生し、エコポイント制度が終了した後は売り上げが激減。エコポイント対象商品は大幅に値下げされ、まるで投げ売り状態に。
もし近い将来、消費税アップが現実になったとしたら、おそらく同じことが起こるでしょう。しかしそこで「増税狂騒曲」に踊らされ、高額な買い物をしてしまうことは避ける べきです。
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これは人から聞いた話ですが、あるご高齢の方は、「墓地は消費税がかからないが、墓石には消費税がかかる」と墓石業者に勧められ、あとからゆっくり墓地を探すつもりで消費税アップの前に墓石だけ購入したそうです。ところが買った墓石は、その方が契約した墓地の規格外の大きさだったことが判明。頭を抱えてしまったそうです。
ほかにも、自立型の有料老人ホームの入居一時金は高額ですが、これは消費税の対象外。月額費用には消費税がかかりますが、だからといって入居時期を早めたほうがいいとは言えないでしょう。
3%から5%への増税前に、ある高齢のご相談者が何か買っておくべきものはないかと考えた 結果、「一生分の下着と靴下を買い溜めした」と言っていました。これなら腐ることもないし、洋服と違いそれほど流行もありません。買い替え時期に当たっているのなら、高額な耐久消費財を買うのもいいでしょう。しかしそうでないなら、増税前に買うのは下着くらいにしておいたほうがいいのではないでしょうか。
最近家計相談に訪れる方の話を聞いていると、食費や交際費などは適切な範囲で収まっていて、節約の余地がないことがほとんどです。この先減税に向かう可能性は低いでしょうから、もっと大きなところに目を向け、自分でできる生活防衛を始めましょう。
消費税の数%増分は、値引き交渉力や住宅ローンの組み方次第でいくらでもカバーできます。報道にあおられず冷静な判断力を育てることが、いまの政権下では大切なことだと思います。
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ファイナンシャルプランナー
畠中雅子
1963年生まれ。新聞、雑誌などへの寄稿のほか、講演やマネープランの相談も行う。著書に『老後が危ない!』など。
長山清子=構成
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